2010.04.27 Tuesday
フクちゃんが遺してくれたもの
地域猫のフクが、1月10日、旅立ちました。推定18才。
師走のある日、普段は入ろうとしなかった我が家に入って来ると、まるで勝手知ったる家のように、のろのろと階段を降り、まっすぐにホットカーペットを敷いた和室へ向かい、そこでたまたま休んでいた家人に頭を垂れ、姿勢を正しました。「もう十分に生きましたんで、よろしく……」。
フクは昨年の春頃から衰えが目立つようになっていましたが、前日から食べられなくなったので、私もフクの状態を悟り、すぐに専用の寝床を作りました。フクは寝床に横たわっていましたが、その様子は、とても自然で、悠然として、でも、食を断ったわけではなく、最後まで、何とか食べようとしていました。
フクが旅立った日、近所の方々がお別れに見え、お香典や花束を戴きました。フクの姿が見えないことを心配している人たちのため、すぐに「お知らせ」が貼り出されました。それから毎日、小学生も、高校生も、大人も、お年寄りも、貼り紙の前に立ち止まり、眺めて行きました。
ある日、通りかかった若い女性から聞きました。その人は、フクの写真を撮って職場に貼り、励みにしていたのだそうです。

フクは毎日、よろよろと歩き、路傍にぼんやり佇んでいたり、時には路のド真ん中に寝ていて、宅配便の運転手を困らせ、通りすがりの人々を心配させました。けれど、フクとしては、太陽に合わせて移動し、日光浴をしていたに過ぎません。寒い日でも、フクの体を触ると、思いがけず温かでした。
フクがいなくなって3ヶ月。私の頭に浮かぶのは、路傍に居るフクの姿です。毎日毎日、同じことの繰り返し。私たち皆に、それぞれの時間があって、自分に与えられた時間を生き通すということ……。命を全うするということ……。
ある日、保育園帰りの少女が、いつものようにフクを見つけると、母親の手を放して駆け寄りました。少女は薄汚れたフクの体をそっとなでながら、言いました。
「お母さん、来て来て!気持ちいい〜!」
(庵主)

さよなら、フクちゃん。
師走のある日、普段は入ろうとしなかった我が家に入って来ると、まるで勝手知ったる家のように、のろのろと階段を降り、まっすぐにホットカーペットを敷いた和室へ向かい、そこでたまたま休んでいた家人に頭を垂れ、姿勢を正しました。「もう十分に生きましたんで、よろしく……」。
フクは昨年の春頃から衰えが目立つようになっていましたが、前日から食べられなくなったので、私もフクの状態を悟り、すぐに専用の寝床を作りました。フクは寝床に横たわっていましたが、その様子は、とても自然で、悠然として、でも、食を断ったわけではなく、最後まで、何とか食べようとしていました。
フクが旅立った日、近所の方々がお別れに見え、お香典や花束を戴きました。フクの姿が見えないことを心配している人たちのため、すぐに「お知らせ」が貼り出されました。それから毎日、小学生も、高校生も、大人も、お年寄りも、貼り紙の前に立ち止まり、眺めて行きました。
ある日、通りかかった若い女性から聞きました。その人は、フクの写真を撮って職場に貼り、励みにしていたのだそうです。

フクは毎日、よろよろと歩き、路傍にぼんやり佇んでいたり、時には路のド真ん中に寝ていて、宅配便の運転手を困らせ、通りすがりの人々を心配させました。けれど、フクとしては、太陽に合わせて移動し、日光浴をしていたに過ぎません。寒い日でも、フクの体を触ると、思いがけず温かでした。
フクがいなくなって3ヶ月。私の頭に浮かぶのは、路傍に居るフクの姿です。毎日毎日、同じことの繰り返し。私たち皆に、それぞれの時間があって、自分に与えられた時間を生き通すということ……。命を全うするということ……。
ある日、保育園帰りの少女が、いつものようにフクを見つけると、母親の手を放して駆け寄りました。少女は薄汚れたフクの体をそっとなでながら、言いました。
「お母さん、来て来て!気持ちいい〜!」
(庵主)

さよなら、フクちゃん。




